石炭や重油などの化石燃料やバイオマス燃料は、発電所や工場、ビル、船舶、ボイラーなど、さまざまな場所・ものの熱源・動力源として幅広く用いられています。もしこれらの燃料の品質が粗悪なものであった場合、たとえばエンジンのピストンが焼き切れたり、フィルターが詰まったりといったトラブルが起こりえます。
輸入燃料の場合は現地企業から分析データが提供されますが、技術的な理由などから正確でないこともあるため、鵜呑みにせず日本国内でしっかりと検証・確認する必要があります。
低品質な燃料のなかには、自然発火するなど安全上のリスクを抱えたものがあります。どのようなシーンで用いられるにせよ、安全性は真っ先に検証しなければならないポイントです。当センターは酸素の含有量や揮発性などをチェックすることで、安全性の検証を行っています。
石炭や原油は燃焼時に、地球温暖化にかかわるとされている二酸化炭素や、大気汚染の原因物質である硫黄酸化物、窒素酸化物などが発生します。また、不純物の多いものほど、燃焼後には多くの廃棄物(石炭灰など)が残されます。当センターでは燃料が環境にやさしい品質であるか否かを、JIS規格に基づき確認しています。
事業用として工場や発電所などで燃料を用いる場合、燃料の品質は採算に大きく影響します。品質が悪いと、発熱の効率が悪いため大量の燃料が必要になり、輸送コストなどがかさんでしまうからです。要求品質を満たした燃料かどうか、事前に分析しておく必要があるでしょう。たとえば石炭の場合、もっとも一般的な品質チェックの手法として「工業分析」が用いられます。工業分析では石炭に含まれる水分・灰分・揮発分・固定炭素という4要素を分析し、それをもとに品質を判断します。
では、「品質の良い燃料」とはどのようなものでしょうか? 品質の悪い燃料を使ってしまった場合に発生するトラブルとは? これらの点については、次のページで詳しく解説いたします。